NEWS2023年9月
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 番外編
〜座談会終了後、学生の皆さんにコメントをいただきました!~ わたしが、学生時代にやって良かったこと・身につけて良かったスキル ・様々な経験(授業、バイト、イベント参加)をしたこと・プログラミングの勉強 人間にしかできないことは“意思決定”であると今回の話を聞いて学びました。そのため、様々な経験をし、様々な人と対話をすることで、自分がやりたいことを考え、自己決定するというプロセスを、残りの学生生活も大切にしたいと感じました。(4年 秋葉さん) 新しいことに積極的に挑戦しました。 データサイエンスカフェに参加したり、サイエンスコミュニケーションの授業をうける中でScienceを大学外の人に伝えたいという思いが生まれ、友人と「サイエンスカフェ」を企画しました。反響もよく、7月に第2回のサイエンスカフェを開催します。今回の対談をうけ、どういう風に話を回していくかや、専門の話を分かりやすく、楽しく伝えるにはどうしたらよいかも考えられました。(4年 高橋さん) わたしが、これから身につけたいスキル・学んでみたいこと・チャレンジしたいこと これまで以上に、データ分析の結果を自分がどう考えるかを大切にしたいと思いました。データ単体よりも、どうしてそのようになったのかという過程に目を向けたいと思いました。(2年 齋藤さん) AI等を活用し、データや資料から自分の意見を選びとることができるスキルを身につけたい!データや統計に関する高年次の授業にとても興味がわいた。(2年 富岡さん) チャットGTPやコンピュータの知識や感情に越されないように、よく考えて、人間(自分)にしかできないアイディアを出せるようにすることにチャレンジしたいです。人間が打ち込んだデータを自分で学習する人工知能にのっとられないようにします。(1年 田茂さん) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.1
玉手学長と語り合う身近なデータサイエンス 2023年5月、玉手学長と山形大学学生5名による対談が行われました。データサイエンスに関する複数のトークテーマから、サイコロを投げて出た目のテーマについて話すという形式で、会場は終始なごやかな雰囲気。話題は、身近なデータサイエンスのことから今話題のChatGPTにまで展開していきました。 参加者 秋葉 玲奈さん(理学部4年) 高橋 雅子さん(理学部4年) 齋藤 奎舜さん(人文社会科学部2年) 富岡 智史さん(人文社会科学部2年) 田茂 柚希乃さん(人文社会科学部1年) 玉手 英利学長 進 行 奥野 貴士教授(理学部 主担当/データサイエンス教育研究推進センター長) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは? テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント(番外編へ) テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは? ❝身近な「データサイエンス」❞ 奥野:皆さん、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。昨年度、玉手学長にデータサイエンスの学びの大切さを学生に伝える企画にご協力いただきたいとご相談したところ、玉手学長から“学生と語る場が良いのでは”というご提案をいただいたことで、今回の企画が実現しました。今日は皆さんと身近なデータサイエンスをテーマに話していきたいと思います。では、まずは玉手学長から、ひと言お願いします。 玉手:私は理学部の教員をしていた頃からクマに関する研究をしており、そこでデータサイエンスを活用していました。例えば、私が以前に発表した論文(Uno et al.2015)を紹介すると、これまでに得られた約3000のクマの出没データを分析し、川からの距離や標高などの環境要因と出没の関係性から、その確率を調べるというものです。ちなみに私は趣味でフィギュアを集めるのが好きです。(すみっコぐらしのチョコエッグを出して)これは全部で21種類あり、コンプリートを目指しています。今日は皆さんにプレゼントします。 学生:かわいい!ありがとうございます! 玉手:データサイエンスの手法の中に「ベイズ統計」というものがあります。このカプセルトイ、いったい何個買ったら全種類が揃うと思いますか? メーカーはできるだけ多くを売りたいけれど21種類を等確率で混ぜてしまうと、目当てのものがすぐに手に入ってお客さんは買うのを辞めてしまいます。だから、もう少しで手が届く程度に適切な比率で種類を混ぜることで、売上を伸ばすことができるというわけです。メーカーによって混ぜ方が異なるため、私は20個ほど大人買いして、そのデータから混合比率を推定して楽しんでいます。 学生:へぇ〜、おもしろい! 玉手:レアが出たら私にくださいね。 学生:笑! ❝データサイエンティストってどんな人?❞ 奥野:ではさっそくサイコロを投げてテーマを決めていきましょう。最初は玉手学長、お願いします。──ひとつめのテーマは「データサイエンティストってどんな人?」です。玉手学長、いかがですか? 玉手:私のデータサイエンティストへのイメージはふたつありますね。ひとつめは、データを構造的に活用するスキルを持ったプロフェッショナルな人物像です。このようなスキルを身につけるには、大学でプログラミングについての理解を深めることが必要不可欠です。今はAIによるプログラムの自動化が進んでいますから、さらにそこから人々が喜ぶものを導き出すための構造やアプローチについて学ぶことも必要になるでしょう。 奥野:企業には大量のデータが集まります。データサイエンティストはそれを解析し、データから導かれる結論・判断や解決策を提案したり、そのデータを企業経営の意思判断に活用することもありますね。 玉手:ですから、むしろデータをどう処理するかよりも、「データを使って何ができるか」という視点で学ぶことが大切です。学部で基礎的なスキルを身につけておけば、将来に活かすことができるでしょう。そのような意味では、大学の研究者から企業でデータを活用して社会的課題に取り組む人まで、データサイエンティストと呼ぶことができると思います。 一方でふたつめのイメージは、必ずしもプロのレベルまではいかないものです。例えば、私は自身のクマの研究でデータサイエンスを意識せず進めていましたが、それが結果的にデータサイエンスの手法になっていた。そのようなレベルであっても良いと思います。 奥野:私は純粋に「データサイエンティストはすごい人」というイメージがありますね。データサイエンティストは膨大なデータを整理・分析するだけでなく、集めたデータから立てた仮説の立証・評価を繰り返し、より良い結果のための施策を出します。ITの知識だけでなく、あらゆる業界の専門的知識とデータを融合し課題解決に導く、とても魅力的な仕事です。データの量や質がそれほど多くなく複雑でなくても、データを扱い、何かを表現することもデータサイエンティストと言えるでしょう。そうなると、データサイエンティストという存在は私たちの多くに当てはまるのかもしれません。そしてそれは、社会にとって必要なスキルでもあります。 玉手:データサイエンティストにはさまざまなレベルがあります。山形大学のデータサイエンス教育はリテラシーレベルからより高度なスキルの取得まで段階的なアプローチを取っています。自分自身がどこまで進みたいか目標を見極めながら、学び進めていくことができます。 秋葉:データサイエンティストのスキルや思考は誰でも持てるものなんでしょうか? 奥野:誰もがデータサイエンティストになれるでしょう。でも、データサイエンティストひとりだけでは仕事を完結することはできません。データを収集する人のほか、その目的や必要性を理解してデータサイエンティストとコミュニケーションができる人材も必要不可欠です。 高橋:文系と理系とでは、どちらで活躍しやすいですか? 玉手:データサイエンティストが活躍する環境は、文系や理系に限定されることなく、どこにでもあります。データを活用して問題を解決することは、どんな業界や組織でも重要な役割を果たすからです。 ❝大切なのは、それをどう使うかを考えること❞ 玉手:山形大学の卒業生の中には、行政に就職する人も多いですよね。行政は施策の効果判断や検証にデータサイエンスやAIを活用しています。自分と違うもの、関係ないものだとは捉えず、自分もそれになりうるものだと考えていきたいですね。 奥野:皆さんは、玉手学長の話を聞く前と後で、データサイエンティストのイメージは変わりましたか? 富岡:データサイエンティストは、資料やグラフを読み取り、その傾向から提案をする職業だと考えていました。話を聞いて、データサイエンティストはあらゆる場所で必要とされる力であり存在なんだなと思いました。 秋葉:データサイエンティストと一言で言っても、かなり幅が広いんですね。今、IT技術の発展で情報やデータが大量にある中で、そのデータの分析方法や提案を考えるという力がこれから必要になると感じました。 玉手:そうですね。データを活用するためには、それを分析するだけでなく、どう活用するかという考え方が大事です。 秋葉:以前授業で取り組んだときに、分析方法が違うだけで答えがまったく別なものになりました。そのときに、分析の方法をしっかりと考えることが大事だと感じました。 玉手:私は自分で研究していたときに一番難しいと感じたのが、データ解析の自動化が進む中での結果の解釈や、追求すべき結果の選択でした。データサイエンスとは、誰かの情報収集や分析の結果でもあります。ですから、判断に正当性を持たせるためには、その答えが導かれたプロセスや背景も知っていた方が良いでしょう。 奥野:データサイエンスティストだけで、かなり話題が広がりましたね。では、次のテーマに移りましょう。(→Vol.2へつづく) 【引用文献】Uno R., Doko T., Ohnishi N.,Tamate H.B.(2015) Mammal Study 40(4):231-244 https://doi.org/10.3106/041.040.0404
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.2
テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか? ❝ChatGPTってどんなもの?❞ 奥野:さて、次のテーマは(学生がサイコロをふり)──。今話題のChatGPTですね。 玉手:皆さんと話してみたかったテーマのひとつです。 奥野:それは楽しみですね。では、この中でChatGPTを使ったことがある人はどんな風に使っていますか?使ったことがない人は、どんなイメージを持っていますか? 田茂:私はまだ使ったことがないのですが、ChatGPTにキーワードを入れて指示し、小説を作ってもらうテレビ番組が印象に残っています。人間だけが感情を使って思考しているのかなと思っていましたが、AIも感情のようなものを使って書いてくるのがおもしろいなと思いました。 玉手:単純に答えが返ってくるのではなくて、読んでる人の感情が動かされるからすごいですよね。 奥野:人の感情というのは「良い」とか「悪い」ということですよね。ChatGPTを始めとする生成型のAIツールは、その感情をスコアで表して、スコアがひとりで歩けるように勉強させています。一番最初にそのスコアを人間が付け、今度はそのスコア付けをするプログラムをつくります。そうすると、そのプログラムが自動でスコア付けを繰り返し、莫大な量のデータを蓄積します。そしてそこから導き出された言葉を人が読むと「いいね」と感じる。そんな世界です。富岡君はどうですか? 富岡:僕はChatGPTがニュースで大々的に取り上げられるまでは、企業サイトによくある質問ページのチャットAIのようなイメージを持っていました。質問を入力してもなんだかちょっとズレた回答が返ってくるような。でも小説を書いたり会話をしたりできるのは大きな進歩ですね。 玉手:今まで未来だったイメージがすぐそばにありますよね。齋藤君は? 齋藤:自分が見たのはオモシロツールとしての使い方です。突飛な質問をして、何かおもしろい答えが返ってきたり、自分には彼女ができますか?と質問して、できませんという回答をSNSで自虐ネタとして投稿したり。 玉手:実用的でなくても、感情が豊かになるおもちゃのような一面もありますね。 奥野:使ったことがある人はどうですか? ❝ChatGPT、どんなふうに使ってる?❞ 高橋:私はちょうど昨日初めてChatGPTを使って感動したんです。友人と一緒に、高校生の探求学習のサポートをしていたのですが、高校生たちは自分が何に興味があるか、何を調べたらいいかがわからなくて困っていたんです。そこでChatGPTを使ってみることにしました。 玉手:探求学習ですか。どんなふうに使ってみたんですか? 高橋:まずはChatGPTに「言語の探求について考えています。おすすめはありますか?」と聞いてみました。すると「言語の中でもどんな言語が良いですか?」「文法と文法的なものだと何が良いですか?」など、どんどん質問が出てきて。答えていくと、ChatGPTがどんどん話題を膨らませていきました。そのときに「AIって人間よりもスゴイのでは?」と感じましたね。皆さんはどんなふうに使っていますか? 秋葉:私はChatGPTに人工知能に関するおもしろい論文はあるかを聞いてみたところ、10選ほど紹介してくれました。あとは就活の自己分析をするのにも使えましたね。 奥野:私は企画を考えるとき、まとまった草案をもとに自分の考えにない視点を加味して、思考を整理するのに使っています。玉手学長はどうですか? 玉手:私はChatGPTがレポートの課題をどこまで自動的に書けるのかが気になり、実際に試してみたことがあります。自分が受け持つ基盤共通教育と、さらに理学部の3年生の授業で同じように試してみました。結果は、基盤共通教育の一般的な話題ではほぼ正解、一方で3年の専門知識になるとまだまだ間違いが多くありました。でも、いずれは後者の知識レベルにも追いつくでしょう。 秋葉:挨拶文や講演文の作成にも使えると聞いたことがあります。玉手学長は人前でお話をする機会が多いかと思いますが、ご自身の講演や挨拶の際にChatGPTは活用されていますか? 玉手:そうですね、使うこともあります。ただ、これからますます多くの人々に対してメッセージを発信する機会が増える中では、自分自身の明確な言葉を伝える必要があり、ありきたりなことはAIが言ってくれます。だからこそ自分自身のメッセージは何かを確かめるためにChatGPTを使えますね。これは本質的なテーマなのではないでしょうか。 秋葉:確かにその通りですね。 ❝データが財産になる時代、注意すべきこと❞ 奥野:今、技術が急速に発達し、産業が大転換するほどのことが起こっています。確実に世の中は変わっていく。少しだけでもその世界の流れに興味を向けてみてもよいかもしれません。ChatGPTを使うときの注意点を山形大学のホームページに載せています。新しく生み出される技術をどんなふうに使っていくとよいのか、ぜひ考えてみてください。 高橋:ChatGPTを使うときの注意点は、なにかありますか? 玉手:これからはデータ自体が本当の価値となる時代です。個人のデータは自分自身の財産です。今、大手企業がこぞって生成型のAIツールを一般公開し、多くの人に無料で使わせているのはなぜでしょう。それは実は、個人が持っている貴重なデータを収集しているからです。だから今、企業機密データや個人情報はChatGPTに出してはいけないという規制がかかっています。皆さんもChatGPTを使うときは、自分の貴重なデータが吸い取られないように注意しなければなりません。固有名詞や自分の名前は入れないようにしましょう。自分たちのためにデータをどのように使っていくかを考えることも、データサイエンティストの役目でしょう。 高橋:なるほど。自分の名前や友人や家族の個人情報を入れないように気をつけます。 奥野:ChatGPTは、人間の言語をモデル化した「言語モデル」であり、人間と同じような思考や意識を持っているわけではないということを理解した上で、使い方を考えることが大事です。こんなふうに使えるのでは?どんなところで使えるのか? といった意識が出てくるとおもしろいですね。 (→Vol.3へつづく) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか? テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント(番外編へ)
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.3
テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか? ❝AIが進化しても残る仕事って何?❞ 奥野:さて、次のテーマは(学生がサイコロをふり)──、「人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」は来ると思いますか?」です。 玉手:皆さんはシンギュラリティという言葉を聞いたことはありますか? 技術的変換点といって、そこから一気に伸びたり一気に衰退するポイントのことを言います。人工知能が人間と同様の会話能力を持つまでにはまだ至っていませんが、将来的に技術が発展し、AIが人間の思考に対応して自己学習を行うようになると、人工知能におけるシンギュラリティが訪れると考えられます。 富岡:マンガの世界が現実になるかもしれないんですね。 奥野:そうです。これから多くの職業がAIに変わると言われていますね。これまでも手仕事が工場に代わりオートメーションになりましたが、それと同じようなことになるのかなと私はイメージしてます。でも、それでも人でないといけないもの、もしくは人だからこそ残るものはあると思いますか? 富岡:教育現場では、授業の資料はAIの方が簡単に素早くつくることができるかもしれません。でも、生徒が「わからないんです」と質問したときはやはり先生の方が、求められるものに近い対応ができるのではないのかなと思います。ほかにも、最近はお店やホテルや施設の案内係がAIというところも増えていますが、人がやるからこその良さが感じられるものも残したいです。 齋藤:僕がこれは人でなくてはと思うのは、観て楽しむスポーツですね。AIよりも、人が頑張ってる姿を見た方が楽しいし、共感すると思います。 玉手:eスポーツの世界では、もう人間はAIに勝てないですよね。 齋藤:そうですね。機械が入ると勝ち負けの話にはならないことが多いですね。 玉手:高橋さんはどうですか? 高橋:私は人間がやり続けることができる仕事として、感情を表現できるものと、高いコミュニケーション力が求められるものは残ると思います。スポーツや芸術、音楽などはやはり人間でないとできない気がします。コミュニケーションにあたっては、今もこうしてみんなで話してる所に良さがあり、人工知能として話していても感情を揺さぶられることはないと思うんです。 玉手:たしかに、このように皆さんとリアルで対話する臨場感の良さは、AIにはありませんね。 高橋:そうなると保育士や学校の先生、サービス業にも人間の仕事が残り続けて欲しいなと思います。 秋葉:私も高橋さんと同じく、感情に関してはAIは難しいかなと感じます。人間は楽しいだけでは終わらなくて、その裏にはいろいろな複雑な感情があります。 もしそのAIをつくるとしても、必ずモデルになる人がいて、その人の感情や価値観を物差しにして5段階を評価します。だからそれが必ずしも正しいとは限らないと思います。人間の複雑な面や、人間にしかない脳のようなものを超えるのは難しいかなと思っています。 玉手:そういった意味では、AIが人間を超えると言ってもいろいろな超え方がありますよね。 ❝AIが人間を凌駕する!?❞ 玉手:データサイエンス教育研究推進センターでは、例えば蕎麦屋のご主人が経営判断に日常的にデータを活用できるようにする、そのくらいあたりまえにデータサイエンスを世の中に普及させることを目標の一つとしています。 秋葉:蕎麦屋のご主人がケータイのアプリに数字を打ち込んで「今日はどのくらい蕎麦を打っておこうかな?」なんて考える日がきたらおもしろいですね。 玉手:そんな日がくるのは、そう遠くはありません。ここで大切なのは「誰が意思決定をするか」です。AIは、蕎麦屋で日々つくるべき蕎麦の数や行政の意思決定に関するデータを提供しますが、最終的な意思決定をするのは人間です。人工知能は人間の判断を補完することであり、人間を凌駕することはありません。 齋藤:SF映画ではよく、人工知能が人間の代わりに意思決定する世界が描かれていますよね。 玉手:そう、そんなSF映画のような世界にはしてはいけないと私は考えています。蕎麦屋で人工知能を使って「今日は30杯しか売れない」と結果が出ても、それ以上頑張る意志を失ってしまうのは良くありません。「だけどもうちょっと頑張ってみようか」という人間の意志のポイントは下がってはいけません。データを使って割り出した費用対効果に対し、どう考えるかは「人」なのですから。 奥野:最後に考えるのは人。辞めるか、それを良くするためさらに考えるかの意思決定は、その人のモチベーションであり熱意です。たとえAIが人間を凌駕したとしても、私たちは文化的豊かさや揺るぎないアイデンティティを育むために、それぞれの人が自分自身がやりたいと思うことを心から楽しんでやるべきでしょう。綿密に計算して数字を出しても、その通り生きてたらおもしろくないと思いませんか? (学生たち深く頷く) 奥野:今日は皆さん、たくさん話していただきましてありがとうございました。最後に玉手学長からメッセージをお願いします。 玉手:データ主導型社会に向かう自分自身の姿勢というのは、それぞれの人が決めるものです。今日は皆さんが意外と知らないデータサイエンス、そんなテーマをざっくばらんに話す時間を持てて良かったです。 それでは最後にクイズです。皆さんにプレゼントしたこのカプセルトイ、今日ここでダブる確率はどれぐらいあると思いますか? 学生:あ、『ぺんぎん?』がダブっているね。 玉手:答えは…、実はダブる確率は意外と高いんです。データサイエンスをこんな風に日常から、ぜひ考えてみてください。 学生:今日はありがとうございました!とても楽しかったです。(→番外編へ) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか? 番外編:参加学生のコメント(番外編へ)
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2023/09/27
- イベント
- データサイエンスcafé
- お知らせ
DSCafé10/25開催『生物学×データサイエンス』
2023年10月25日開催のデータサイエンスCaféは、「生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~」の演題で、山形大学理学部の横山潤教授にご講演いただきます。 講演概要:私たちの身の回りにはおびただしい数の微生物が存在していますが、それらは目に見えないだけではなく、多くは育てることもできません。それでも、微生物はそれら同士、あるいは他のもっと大きな生物と一緒に生きることで、自然界でとても大切な役割を果たしています。ここでは、DNAを基に見えない微生物の存在をどのように調べるか、そしてそれによってわかることは何かについてお話しします。 PDFを見る お申込み 開催日時 2023年10月25日(水)17時30分~18時30分(開場:17時15分)講演タイトル生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~講師横山 潤教授(山形大学理学部)会場データサイエンス多目的ホール(山形大学理学部2号館5階511教室)オンライン(Zoom)定員会場:20名(先着順)/オンライン:最大300名参加費無料対象学生、教職員、一般申込方法10月24日(火)までに申込フォームからお申し込みください注意事項・会場申込多数の場合や諸事情により、オンライン参加に変更をお願いする場合があります。・本学にお越しいただく際には、公共交通機関や近隣の有料駐車場などのご利用をお願いします。 近隣の施設や店舗には駐車いただかないようお願いいたします。・会場参加をキャンセルされる場合は、事前にご連絡いただきますようお願いいたします。・当日ご都合が合わない方のために、期間限定の見逃し配信を行う予定です。お申込みいただいた方限定での公開となりますので、ご希望の方は事前にお申し込み下さい。お問合せ山形大学データサイエンス教育研究推進センターE-mail:yu-derp-info[at]jm.kj.yamagata-u.ac.jp※[at]を@に変えて送信下さい
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2023/09/26
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【お知らせ】ウェブサイト改修に伴う施設予約・お問合せ受付の停止について
日頃よりお世話になっております。 当センターのウェブサイト改修のため、2023年9月29日(金)は終日、サイト内の施設利用予約および問合せフォームの受付を停止します。ご迷惑をお掛けしますが何卒ご容赦願います。 山形大学データサイエンス教育研究推進センター
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2023/09/20
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地域の「記憶」をアーカイブし、未来に繋ぐ。「現在」を失わせないために、学生とともに立ち上がる
再開発などを理由に、街並みは刻一刻と変化しています。このままでは景観だけでなく、暮らしていた人々の思いなど、未来に残すべきかけがえのない地域の「記憶」は失われてしまいます。そこで、山形大学附属博物館が中心となり、街並みの撮影やまちの人々へのインタビューをデジタル化する取り組みを進め、その成果をホームページや年に2回開催のイベント「ななはく!」で公開しています。2023年6月に行われた「データサイエンスカフェ」では、「地域の『記憶』をデジタルで集める・残す・活用する」と題して、人文社会科学部の小幡圭祐准教授と、学生サークル「まちの記憶を残し隊」の髙橋怜華隊長にご講演いただきました。イベント終了後、お2人から活動内容やデータサイエンスとの関わり方について、お話しを伺いました。 聞き手・奥野貴士(データサイエンス教育研究推進センター長) 我々の「身の回りにあるもの」も後世に残すべき史料 当初、山形大学附属博物館の佐藤琴先生が、七日町のみなさんと「何か、一緒に取り組んでいきたいですね」という話をしていたところに、私にも声がかかりました。私の専門は日本近代史ですが、現在、山形は非常に変化が激しいと感じていて、記録することへの協力はできるのではないかと考えました。当初は、私が定期的に七日町の街並みを撮影し記録したりしていましたが、今は授業の課題として取り組んだり、学生サークル「まちの記憶を残し隊」のメンバーと活動したりなど、学生を巻き込みながら展開しています。 「歴史」というと「江戸時代」など昔のことを想像する人が多く、古い時代の史料というのは大事にされます。一方で、現在は当たり前に存在している、我々の身の回りの物事や出来事は、大事にされにくい。それらを残していく大切さに気づかないと、100年後や200年後に何も残っていない状態になってしまうかもしれません。私たちの活動が、そういった気づきのきっかけにもなればと思っています。(小幡先生) 山形大学 准教授 小幡圭祐先生(人文社会科学部主担当/日本近代史) 人のココロを動かして、次世代に繋げるために 山形大学 人文社会科学部学生 高橋怜華さん(「まちの記憶を残し隊」隊長) 「まちの記憶を残し隊」の活動に興味を持ってくださる人は、歴史好きが多く、イベントに来てくださる方は比較的年齢層が高めです。でも、歴史に興味がない人たちや若い世代にも、この活動の重要性を伝えていくことが大切なのではないかと思っています。私たちは、街並みの記録だけではなく、インタビューを動画で記録するなど、人々の記憶のアーカイブ化にも取り組んでいます。また、「ななはく!」などのイベントでは、まちの思い出を付箋に書き込んでもらうなどの活動もしています。歴史に興味はなくても、自分に関わるものなら、興味はあるはず。例えば学生時代に流行していたものから、記憶を辿ってもらいアーカイブのきっかけにするなど、人々の想いを次世代に残すことに共感してもらえるような方法を考えていきたいです。 私個人としては、教育にも興味があります。今は、アーカイブをする活動が中心ですが、今後、そのアーカイブを使って、小学生や中学生、高校生などにどのような授業をできるのかを考えたりすることもあります。(高橋さん) 得意分野のスキルを活かし、協力しながら取り組む 私は理系分野については苦手で、全くわかりません。でも、まちの記録や記憶をデジタル化していくという今の活動は、とても楽しんで取り組めています。また、自分は、私たちの活動を広く知っていただくための広報や周知は、比較的、得意分野。そこから自分のスキルアップに繋がることもあります。そのような経験から、メンバーそれぞれが自分のスキルを活かして、協力しあって取り組んでいくことが大切ではないかと、活動を通して感じています。(高橋さん) 私は写真撮影のテクニックがあるわけでもないですし、情報システム技術についてもよくわかっていない部分も多いです。でも、そんな私でも、データサイエンスと言えるものには、今のような形で携われています。「データサイエンス」と聞いても敷居高く感じずに、まずは取り組んでみたらいいのではないかと思います。(小幡先生)
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2023/09/12
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- イベント
- 実施報告
【DSCafé夏フェス2023】成果発表会・受賞者発表
2023年7月31日~8月4日に行われたデータサイエンスCafé夏フェス2023では、最終日の8月4日に受講生による成果発表会が行われました。各コースの受賞者はそれぞれ下記のとおりです。皆さんの努力と成果に敬意を表し、ここにその栄誉を称えます。 【データ活用コース】テーマ:あなたが山形県の観光PRを担当するとしたら・・・ 課題:オープンデータを活用し、山形県の観光地や農産物などに関する現状や課題について、自分の気になる・好きなテーマを設定して、グラフ表示やデータ分析を行ってください。分析結果に基づき、分かったことやアイデアを教えてください。 名称氏名(敬称略)・所属作品名使用スキル最優秀賞見立康太 (理学部3年)山形に来る国別の観光客数Python, Excel優秀賞松澤秀馬(理学部2年)山形県区分別観光者数MATLAB, Acrobat, ExcelA. F.(理学部3年)山形の気候MATLAB敢闘賞杉村一輝(理学部4年)山形県のさくらんぼ出荷量の全国との比較Python, Excelデータ活用コース受賞者一覧(敬称略)なお1名は本人希望でイニシャルのみ掲載 【3Dデザインコース】テーマ:あなたが県外向けに山形県をPRするグッズ制作を担当するとしたら・・・ 課題:山形県のお土産品や県の特産品をモチーフにした造形物をデザインしてください。3Dプリンタで出力した作品のみ、3Dモデル(Fusion360を使用)を使った3Dモデルのみでの発表も可。 名称氏名(敬称略)・所属作品名使用スキル最優秀賞戸田笑華(理学部2年)花笠日傘Fusion360, 3Dプリント加藤あすか(理工学研究科2年)海月風鈴Fusion360(3Dプリントは別作品)優秀賞渋谷樹李(理学部2年)くだものしょうぎFusion360, 3Dプリント菅原明広(理工学研究科1年)将棋カード立てFusion360, 3Dプリント敢闘賞小溝悠希(人文社会科学部4年)山形解剖コースターFusion3603Dデザインコース受賞者一覧(敬称略) 審査員:奥野貴士教授(山形大学理学部)鹿内智也氏(株式会社シンフォディア・フィル)吉田蓮氏(株式会社エム・エス・アイ)脇克志教授(山形大学理学部) 審査基準:【1】スキルアップ度【2】アイデア【3】アイデアに対する実現度【4】一生懸命さ
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2023/09/08
- お知らせ
- インタビュー
データサイエンスを学んでいる学生は、一歩先に進んでいるという自信を持って!
データサイエンス分野の第一線でご活躍中の方をお招きし、学生と一緒にランチをとりながら、現場のリアルなお話をうかがう「データサイエンスカフェ・ランチ」を2023年6月29日に山形大学・データサイエンス多目的ホールで行いました。このイベントでは、東レエンジニアリングDソリューションズ株式会社・システム技術本部の早川貴倫さんと大坂開さん、東レエンジニアリング株式会社・人事部の新谷友季子さんにお越しいただきました。大阪さんからは「エンジニアリング会社でのDSキャリア」とのご演題で、データサイエンティストの仕事実態と、食品業界のDXを目指した取組実績についてご講演いただいた後、学生との懇談会を実施しました。イベント終了後、データサイエンティストを目指す学生が、学生時代に身につけて欲しいスキルや心構えについて、御三方にお話を伺いました。 聞き手・奥野貴士 データサイエンティストになるために必要な資質とは? 就職活動中の学生さんから「入社するまでにやっておいた方が良いことはありますか?」と聞かれることがあります。データサイエンス分野に関する勉強も大切だとは思いますが、私たち人事部からのアドバイスとしては「コミュニケーション能力を高められるようなアルバイトとかをやってみては?」と言いますね。アルバイトの内容も、家庭教師のような人間関係が固定されるものよりも、接客業など、さまざまな人とコミュニケーションをとる機会があるものがよいと思います。(新谷さん) 仕事をする上で、コミュニケーション能力は非常に重要なスキルです。逆にそこが苦手でやりたくないという人は、データサイエンティストではなく、研究職に進んでいただくほうがよいのかもしれません。また、データサイエンスのスキルアップという点では、自分でテーマを決めて何かに取り組んでみる、というのも勉強になると思います。会社ではチームワークが求められますので、テーマに対してグループで取り組むというのも良い経験になると思いますね。(早川さん) 私は2012年に大学に入学しましたが、当時、データサイエンスはまだまだ浸透していませんでした。データサイエンスという単語を聞き始めたのは2015年頃からでしょうか。今は国内の大学でも、専門的に学べる学部が増えました。データサイエンスは、統計学やプログラミングなどの知識を学びながら、キャリアを進めていく分野だと思います。(大坂さん) データサイエンス分野への就職活動、心構えは? データサイエンティストは、首都圏には多いかもしれませんが、地方ではまだまだ不足していて、これからも益々需要がある分野です。「データサイエンスの勉強をしている」というだけでも、魅力的な人材なのだと思います。(早川さん) 入社前から、プログラミングを完璧にマスターしている必要があるのかと言えば、そうとも言い切れません。入社時には出来なくても、学び続ける意欲があるかどうかが重要です。一方で、学生のみなさんにお伝えしたいのは、将来を決めつけないで欲しいということです。みなさんの将来は無限に広がっていますので、さまざまな視点で就職活動を進めていただければと思います。データサイエンスを勉強しているということは、勉強していない人と比べても一歩進んでいると思いますので、自信を持って欲しいですね。(新谷さん) 前列左から:新谷友季子氏(東レエンジニアリング株式会社)、早川貴倫氏、大坂開氏(東レDソリューションズ株式会社)、後列左から:奥野貴士教授、中西正樹教授(山形大学)
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2023/09/07
- お知らせ
【開催案内】やまフェス!2023 ~つなぐちから~
令和5年10月9日(月・祝)に、小白川キャンパスで「やまフェス!2023 ~つなぐちから~」を開催します。 当日はキャンパスを開放し、本学の複数の教育研究推進組織と附属博物館などが提供する様々な学びを子供から大人まで体験できるイベントとなっています。 当センターでは、「3Dプリンタ屋さんを探せ」と題し、3Dプリンタを抱えたスタッフが小白川キャンパス内のさまざまな場所に現れ、3Dプリンタの実演会や3Dプリンタに関するクイズを出題します。見かけたら是非お立ち寄りください! 本イベントの詳細は、山形大学健康と学びのサポートセンター ホームページをご覧ください。 PDFをダウンロード
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