NEWS##微生物
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2024/03/01
- お知らせ
- インタビュー
植物と菌の密接な関係を明らかに。生物間の相互作用を解析することで開ける未来
私たちの身の回りにはおびただしい数の微生物が存在していますが、それらは目に見えないだけではなく、その多くは育てることすらできません。それでも、微生物同士や、ほかのもっと大きな生物と一緒に生きることで、自然界で大きな役割を果たしています。2023年10月に行われたデータサイエンスカフェでは、「生物間の見えない関係をひもとく」という演題で、山形大学理学部の横山潤教授にご講演いただきました。講演後、横山先生に研究を進める上でのデータサイエンスとの関係や今後の可能性について、お話を伺いました。 聞き手・奥野貴士 山形大学データサイエンス教育研究推進センター長、石川彩香 講師(2023年10月25日実施) 山形大学理学部 横山潤 教授 植物が好きな気持ちの先にあった研究者の道 実家は自然豊かな場所にありました。父は植物を栽培するのが好きで、自分も植物が好きでした。自分が見たことのない植物がたくさん載っていたので、図鑑を見るのも好きでしたね。また、植物だけでなく動物にも興味があり、「どちらも好きなら、関係性の分野を研究してはどうか?」と、大学院でアドバイスをもらい植物と昆虫の関係の研究を始めました。 その後、東北大学に着任したのですが、実は仙台は植物学的にも面白い場所です。例えば東北大学植物園は、伊達家の水源かん養林で本来の森林のシステムがそのまま残されています。また、仙台は、ブナの林ができるには夏がやや暖かく、一方でシイやカシの常緑樹林ができるには冬が寒過ぎるため、他所では珍しくモミとイヌブナが林をつくっています。モミと菌類というのは密接に関わっていて、そこから「菌類と植物の関係も面白そうだな」と思いました。植物は菌類に炭水化物を与え、菌類は周囲から吸収した窒素やリンを植物に与えています。研究者によっては、その共生関係がなければ、植物が陸に上がることはできなかったのではないかという人もいるくらいです。 研究手法の進化で得られる情報量が増加 昔は植物を経時的に詳しく観察するのはとても大変でした。今でも基本は変わりませんが、現場で撮影した画像を解析して非破壊的に形態を測定したり、長時間のタイムラプス撮影することで、開花の開始から終了にかけて形がどのように変化するかとか、どのような昆虫が訪花したのか調査したり、さまざまなことを効率的に調べられるようになりました。私の師匠の時代には、簡単にDNAの塩基配列を調べることもできなかったので、海外の標本と形を比較したりしながら、植物の研究を進めていたわけですが、DNAを解析できるようになり、得られる情報が格段に増えました。特に微生物を分析する上では、DNA分析はなくてはなりません。そして、DNAの塩基配列を解読する装置・シーケンサーも日々進化しており、一度に分析できる検体数や、解読できる長さも格段に増えました。 まだまだ未知な分野を、どのように補完していけるのか 次の世代のシーケンサーでは、現在では判定できない情報を読み取れるようになったり、より正確な分析が可能になったりするでしょう。現在のシーケンサーでは塩基配列の部分データを組み合わせて、ゲノムを再構築していますが、今後、技術が進み、限られたデータから全体を推測して生き物の復元ができるとか、生物間相互ネットワークといった生き物の関係性が解明できるとなれば素晴らしいことです。そういう面で、AIは重要な貢献をしてくれるのではないかと期待しています。 例えば、人間とバクテリアの関係の全容が分かれば活用方法も広がると思います。「あるバクテリアが腸内にいると長生きする」ということが明確になったら、それをプロバイオティクスで投入するとか、そういう活かし方もあるかもしれません。 これまでに様々な研究を重ねて、いろいろなことがわかってきていますが、それでも現在までに判明していることって、実は大したことはないと思っています。バクテリアも現在までに数万種が判別されていますが、もし何十億種もいるのだとしたら未知な部分がほとんどなわけですから、研究の先はまだまだ長いですね。
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2023/11/01
- お知らせ
- データサイエンスcafé
- 実施報告
【実施報告】DSCafé「生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~」10/25に開催しました
2023年10月25日のデータサイエンスCaféは、生物学×データサイエンスをテーマに、山形大学理学部の横山潤教授に「生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~」のご講演をいただきました。 ご講演では「私たちは地球上の生物多様性の実態をよく知らない」というお話からスタートしました。実は日本の陸上植物に限っても、いまだに毎年、数種類の新種が記載されています。私たちがよく知っていると思っている”桜”であっても、2018年に新種「クマノザクラ」が記載されました。世界に目を向ければ、まだ発見されていない樹木が9000種以上もあると推測されているのだそう。微生物にともなると、”種“の実体がわかっているのは、本当にごくわずか。しかも形態が単純で、識別するのは本当に困難。では、そんな微生物をどうやって調べるのか?ご講演の前半は、DNAを使って”種”を調べる方法について、ウェット(塩基配列情報の取得方法)から、ドライ(コンピューターを使って”種”を同定する方法)まで詳しく紹介していただきました。 後半は、植物の根に共生する菌類との関係(菌根菌ネットワーク)や土壌中に存在するバクテリアを調べる方法について、先生のご研究例として、キンランの仲間とその根に共生する菌類との関係や、農学部との共同研究である水田土壌中のバクテリアと稲や共存雑草などとの関係についてをご紹介いただきました。植物と菌、あるいはバクテリアとの間に存在する生物間相互作用が生態系の中でいかに重要か、微生物が植物の生長や競争にまで影響していることなどについて、お話いただきました。 質疑応答時間には、会場の学生からの質問を皮切りに次々と質問攻め。オンライン参加者からもQ&Aにご質問いただくなど、大変活発な会となりました。当日の参加者は、対面会場8名、オンライン19名の合計27名。高校生から一般の方まで、日本各地から様々な方にご参加いただきました。 次回は、農学部の鶴岡キャンパスで外部講師をお招きして開催予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
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2023/09/27
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- イベント
- データサイエンスcafé
DSCafé10/25開催『生物学×データサイエンス』
2023年10月25日開催のデータサイエンスCaféは、「生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~」の演題で、山形大学理学部の横山潤教授にご講演いただきます。 講演概要:私たちの身の回りにはおびただしい数の微生物が存在していますが、それらは目に見えないだけではなく、多くは育てることもできません。それでも、微生物はそれら同士、あるいは他のもっと大きな生物と一緒に生きることで、自然界でとても大切な役割を果たしています。ここでは、DNAを基に見えない微生物の存在をどのように調べるか、そしてそれによってわかることは何かについてお話しします。 PDFを見る お申込み 開催日時 2023年10月25日(水)17時30分~18時30分(開場:17時15分)講演タイトル生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~講師横山 潤教授(山形大学理学部)会場データサイエンス多目的ホール(山形大学理学部2号館5階511教室)オンライン(Zoom)定員会場:20名(先着順)/オンライン:最大300名参加費無料対象学生、教職員、一般申込方法10月24日(火)までに申込フォームからお申し込みください注意事項・会場申込多数の場合や諸事情により、オンライン参加に変更をお願いする場合があります。・本学にお越しいただく際には、公共交通機関や近隣の有料駐車場などのご利用をお願いします。 近隣の施設や店舗には駐車いただかないようお願いいたします。・会場参加をキャンセルされる場合は、事前にご連絡いただきますようお願いいたします。・当日ご都合が合わない方のために、期間限定の見逃し配信を行う予定です。お申込みいただいた方限定での公開となりますので、ご希望の方は事前にお申し込み下さい。お問合せ山形大学データサイエンス教育研究推進センターE-mail:yu-derp-info[at]jm.kj.yamagata-u.ac.jp※[at]を@に変えて送信下さい
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