2023年10月25日のデータサイエンスCaféは、生物学×データサイエンスをテーマに、山形大学理学部の横山潤教授に「生物間の見えない関係をひもとく~微生物を中心とした生物間相互作用の解析~」のご講演をいただきました。
ご講演では「私たちは地球上の生物多様性の実態をよく知らない」というお話からスタートしました。実は日本の陸上植物に限っても、いまだに毎年、数種類の新種が記載されています。私たちがよく知っていると思っている”桜”であっても、2018年に新種「クマノザクラ」が記載されました。世界に目を向ければ、まだ発見されていない樹木が9000種以上もあると推測されているのだそう。微生物にともなると、”種“の実体がわかっているのは、本当にごくわずか。しかも形態が単純で、識別するのは本当に困難。では、そんな微生物をどうやって調べるのか?ご講演の前半は、DNAを使って”種”を調べる方法について、ウェット(塩基配列情報の取得方法)から、ドライ(コンピューターを使って”種”を同定する方法)まで詳しく紹介していただきました。
後半は、植物の根に共生する菌類との関係(菌根菌ネットワーク)や土壌中に存在するバクテリアを調べる方法について、先生のご研究例として、キンランの仲間とその根に共生する菌類との関係や、農学部との共同研究である水田土壌中のバクテリアと稲や共存雑草などとの関係についてをご紹介いただきました。植物と菌、あるいはバクテリアとの間に存在する生物間相互作用が生態系の中でいかに重要か、微生物が植物の生長や競争にまで影響していることなどについて、お話いただきました。
質疑応答時間には、会場の学生からの質問を皮切りに次々と質問攻め。オンライン参加者からもQ&Aにご質問いただくなど、大変活発な会となりました。当日の参加者は、対面会場8名、オンライン19名の合計27名。高校生から一般の方まで、日本各地から様々な方にご参加いただきました。
次回は、農学部の鶴岡キャンパスで外部講師をお招きして開催予定です。皆様のご参加をお待ちしております。