NEWS##人工知能
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2024/08/02
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- データサイエンスcafé
- 実施報告
【実施報告】7/19に東北大学教員による『Kaggle』と『配列データを処理するデータ科学』をテーマとしたDSCaféを開催しました
第1部『Exploring Modern Machine Learning on Kaggle: Competitions and Techniques』 Michael Ryan Zielewski先生(東北大学大学院情報科学研究科・特任助教 ) 『Kaggle』は、企業と研究者を結ぶプラットフォームで、賞金をかけて行われる競技会(”コンペ”)です。ご講演では、複数の課題について、解決のための考え方や、解析フローなどを解説いただきました。スピーチは英語でしたが、スライドは日本語でしたので、学生からも数多くの質問が寄せられ、非常に大変活発な議論が交わされました。 第2部『配列データを処理するデータ科学に関する研究』 山田和範先生(東北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター・教授) ご講演前半は、「データ科学とは?」、「東北大学のデータ科学教育」、「人工知能研究の今後」について、後半は「配列処理と人工知能」と題して、ご自身の研究内容についてお話いただきました。ご講演最後には、意識を持ったような人工知能が持つべき機能とは?についてもお話いただきました。 当日の参加者は会場7名、オンライン10名の総勢17名、見逃し配信も含めて合計32名と、いつもより若干少なめでした。一方、ご講演内容はホットで分かりやすく、講演中にも質問が飛び交い、Café感あふれる楽しいセミナーとなりました。 今後も、様々な分野の先生にデータサインスにかかわる話題をご講演いただきますので、お楽しみに!
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2024/07/05
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【DSCafé】7/19開催!『配列データ』と『Kaggle』をキーワードに2講演開催!
2024年7月19日のデータサイエンスカフェは東北大学教員2名による講演を行います。第1部は山田先生による「配列データを処理するデータ科学に関する研究」、第2部はZielewski先生による「Exploring Modern Machine Learning on Kaggle: Competitions and Techniques」をご講演いただきます。 第1部 配列データを処理するデータ科学に関する研究 講演概要:データ科学とは第4の科学と言われる、科学のひとつです.データ科学では、人工知能を駆使して、大量のデータに内包される真実を見出します。これまでに私達は配列データ(自然言語やDNA等の我々に身近なデータ)の処理を行うことが得意な人工知能を作るための要素技術の開発を行ってきました。今回の講演ではそれらの開発研究やデータ科学の未来についてご紹介します。 第2部 Exploring Modern Machine Learning on Kaggle: Competitions and Techniques 講演概要:Kaggle is a leading online platform for data science, known for hosting competitions in various fields, such as shopping, education, and medicine. Experts from around the world are drawn not only by the challenging problems, but also for community engagement and cash prizes. By reviewing winning code and solution summaries we can learn about effective problem-solving approaches, data transformation techniques, and advanced machine learning algorithms. PDFを見る お申込み 開催日時 2024年7月19日(金)17時30分~19時00分(開場:17時15分)第1部配列データを処理するデータ科学に関する研究山田 和範教授(東北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター)第2部Exploring Modern Machine Learning on Kaggle: Competitions and TechniquesMichael Ryan Zielewski 特任助教(東北大学大学院情報科学研究科 )会場データサイエンス多目的ホール(山形大学理学部2号館5階511教室)オンライン(Zoom)定員対面会場:30名(先着順)/オンライン:300名迄/見逃し配信(期間限定)参加費無料対象学生(高校生、大学生)、教職員、一般申込方法7月18日(木)までに申込フォームからお申し込みください注意事項・会場申込多数または情勢により、オンライン参加に変更をお願いする場合があります。・本学にお越しいただく際には、公共交通機関や近隣の有料駐車場などのご利用をお願いします。(近隣施設や店舗には駐車いただかないようお願いいたします。)・会場参加をキャンセルされる場合は、申し込みフォームから変更するか、事前にご連絡ください。・当日ご都合が合わない方のために、期間限定の見逃し配信予定です。ご希望の方は申し込みフォームからお申し込み下さい。お問合せ山形大学データサイエンス教育研究推進センターE-mail: yu-derp-info[at]jm.kj.yamagata-u.ac.jp※[at]を@に変えて送信下さい
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 番外編
〜座談会終了後、学生の皆さんにコメントをいただきました!~ わたしが、学生時代にやって良かったこと・身につけて良かったスキル ・様々な経験(授業、バイト、イベント参加)をしたこと・プログラミングの勉強 人間にしかできないことは“意思決定”であると今回の話を聞いて学びました。そのため、様々な経験をし、様々な人と対話をすることで、自分がやりたいことを考え、自己決定するというプロセスを、残りの学生生活も大切にしたいと感じました。(4年 秋葉さん) 新しいことに積極的に挑戦しました。 データサイエンスカフェに参加したり、サイエンスコミュニケーションの授業をうける中でScienceを大学外の人に伝えたいという思いが生まれ、友人と「サイエンスカフェ」を企画しました。反響もよく、7月に第2回のサイエンスカフェを開催します。今回の対談をうけ、どういう風に話を回していくかや、専門の話を分かりやすく、楽しく伝えるにはどうしたらよいかも考えられました。(4年 高橋さん) わたしが、これから身につけたいスキル・学んでみたいこと・チャレンジしたいこと これまで以上に、データ分析の結果を自分がどう考えるかを大切にしたいと思いました。データ単体よりも、どうしてそのようになったのかという過程に目を向けたいと思いました。(2年 齋藤さん) AI等を活用し、データや資料から自分の意見を選びとることができるスキルを身につけたい!データや統計に関する高年次の授業にとても興味がわいた。(2年 富岡さん) チャットGTPやコンピュータの知識や感情に越されないように、よく考えて、人間(自分)にしかできないアイディアを出せるようにすることにチャレンジしたいです。人間が打ち込んだデータを自分で学習する人工知能にのっとられないようにします。(1年 田茂さん) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.1
玉手学長と語り合う身近なデータサイエンス 2023年5月、玉手学長と山形大学学生5名による対談が行われました。データサイエンスに関する複数のトークテーマから、サイコロを投げて出た目のテーマについて話すという形式で、会場は終始なごやかな雰囲気。話題は、身近なデータサイエンスのことから今話題のChatGPTにまで展開していきました。 参加者 秋葉 玲奈さん(理学部4年) 高橋 雅子さん(理学部4年) 齋藤 奎舜さん(人文社会科学部2年) 富岡 智史さん(人文社会科学部2年) 田茂 柚希乃さん(人文社会科学部1年) 玉手 英利学長 進 行 奥野 貴士教授(理学部 主担当/データサイエンス教育研究推進センター長) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは? テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント(番外編へ) テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは? ❝身近な「データサイエンス」❞ 奥野:皆さん、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。昨年度、玉手学長にデータサイエンスの学びの大切さを学生に伝える企画にご協力いただきたいとご相談したところ、玉手学長から“学生と語る場が良いのでは”というご提案をいただいたことで、今回の企画が実現しました。今日は皆さんと身近なデータサイエンスをテーマに話していきたいと思います。では、まずは玉手学長から、ひと言お願いします。 玉手:私は理学部の教員をしていた頃からクマに関する研究をしており、そこでデータサイエンスを活用していました。例えば、私が以前に発表した論文(Uno et al.2015)を紹介すると、これまでに得られた約3000のクマの出没データを分析し、川からの距離や標高などの環境要因と出没の関係性から、その確率を調べるというものです。ちなみに私は趣味でフィギュアを集めるのが好きです。(すみっコぐらしのチョコエッグを出して)これは全部で21種類あり、コンプリートを目指しています。今日は皆さんにプレゼントします。 学生:かわいい!ありがとうございます! 玉手:データサイエンスの手法の中に「ベイズ統計」というものがあります。このカプセルトイ、いったい何個買ったら全種類が揃うと思いますか? メーカーはできるだけ多くを売りたいけれど21種類を等確率で混ぜてしまうと、目当てのものがすぐに手に入ってお客さんは買うのを辞めてしまいます。だから、もう少しで手が届く程度に適切な比率で種類を混ぜることで、売上を伸ばすことができるというわけです。メーカーによって混ぜ方が異なるため、私は20個ほど大人買いして、そのデータから混合比率を推定して楽しんでいます。 学生:へぇ〜、おもしろい! 玉手:レアが出たら私にくださいね。 学生:笑! ❝データサイエンティストってどんな人?❞ 奥野:ではさっそくサイコロを投げてテーマを決めていきましょう。最初は玉手学長、お願いします。──ひとつめのテーマは「データサイエンティストってどんな人?」です。玉手学長、いかがですか? 玉手:私のデータサイエンティストへのイメージはふたつありますね。ひとつめは、データを構造的に活用するスキルを持ったプロフェッショナルな人物像です。このようなスキルを身につけるには、大学でプログラミングについての理解を深めることが必要不可欠です。今はAIによるプログラムの自動化が進んでいますから、さらにそこから人々が喜ぶものを導き出すための構造やアプローチについて学ぶことも必要になるでしょう。 奥野:企業には大量のデータが集まります。データサイエンティストはそれを解析し、データから導かれる結論・判断や解決策を提案したり、そのデータを企業経営の意思判断に活用することもありますね。 玉手:ですから、むしろデータをどう処理するかよりも、「データを使って何ができるか」という視点で学ぶことが大切です。学部で基礎的なスキルを身につけておけば、将来に活かすことができるでしょう。そのような意味では、大学の研究者から企業でデータを活用して社会的課題に取り組む人まで、データサイエンティストと呼ぶことができると思います。 一方でふたつめのイメージは、必ずしもプロのレベルまではいかないものです。例えば、私は自身のクマの研究でデータサイエンスを意識せず進めていましたが、それが結果的にデータサイエンスの手法になっていた。そのようなレベルであっても良いと思います。 奥野:私は純粋に「データサイエンティストはすごい人」というイメージがありますね。データサイエンティストは膨大なデータを整理・分析するだけでなく、集めたデータから立てた仮説の立証・評価を繰り返し、より良い結果のための施策を出します。ITの知識だけでなく、あらゆる業界の専門的知識とデータを融合し課題解決に導く、とても魅力的な仕事です。データの量や質がそれほど多くなく複雑でなくても、データを扱い、何かを表現することもデータサイエンティストと言えるでしょう。そうなると、データサイエンティストという存在は私たちの多くに当てはまるのかもしれません。そしてそれは、社会にとって必要なスキルでもあります。 玉手:データサイエンティストにはさまざまなレベルがあります。山形大学のデータサイエンス教育はリテラシーレベルからより高度なスキルの取得まで段階的なアプローチを取っています。自分自身がどこまで進みたいか目標を見極めながら、学び進めていくことができます。 秋葉:データサイエンティストのスキルや思考は誰でも持てるものなんでしょうか? 奥野:誰もがデータサイエンティストになれるでしょう。でも、データサイエンティストひとりだけでは仕事を完結することはできません。データを収集する人のほか、その目的や必要性を理解してデータサイエンティストとコミュニケーションができる人材も必要不可欠です。 高橋:文系と理系とでは、どちらで活躍しやすいですか? 玉手:データサイエンティストが活躍する環境は、文系や理系に限定されることなく、どこにでもあります。データを活用して問題を解決することは、どんな業界や組織でも重要な役割を果たすからです。 ❝大切なのは、それをどう使うかを考えること❞ 玉手:山形大学の卒業生の中には、行政に就職する人も多いですよね。行政は施策の効果判断や検証にデータサイエンスやAIを活用しています。自分と違うもの、関係ないものだとは捉えず、自分もそれになりうるものだと考えていきたいですね。 奥野:皆さんは、玉手学長の話を聞く前と後で、データサイエンティストのイメージは変わりましたか? 富岡:データサイエンティストは、資料やグラフを読み取り、その傾向から提案をする職業だと考えていました。話を聞いて、データサイエンティストはあらゆる場所で必要とされる力であり存在なんだなと思いました。 秋葉:データサイエンティストと一言で言っても、かなり幅が広いんですね。今、IT技術の発展で情報やデータが大量にある中で、そのデータの分析方法や提案を考えるという力がこれから必要になると感じました。 玉手:そうですね。データを活用するためには、それを分析するだけでなく、どう活用するかという考え方が大事です。 秋葉:以前授業で取り組んだときに、分析方法が違うだけで答えがまったく別なものになりました。そのときに、分析の方法をしっかりと考えることが大事だと感じました。 玉手:私は自分で研究していたときに一番難しいと感じたのが、データ解析の自動化が進む中での結果の解釈や、追求すべき結果の選択でした。データサイエンスとは、誰かの情報収集や分析の結果でもあります。ですから、判断に正当性を持たせるためには、その答えが導かれたプロセスや背景も知っていた方が良いでしょう。 奥野:データサイエンスティストだけで、かなり話題が広がりましたね。では、次のテーマに移りましょう。(→Vol.2へつづく) 【引用文献】Uno R., Doko T., Ohnishi N.,Tamate H.B.(2015) Mammal Study 40(4):231-244 https://doi.org/10.3106/041.040.0404
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.2
テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか? ❝ChatGPTってどんなもの?❞ 奥野:さて、次のテーマは(学生がサイコロをふり)──。今話題のChatGPTですね。 玉手:皆さんと話してみたかったテーマのひとつです。 奥野:それは楽しみですね。では、この中でChatGPTを使ったことがある人はどんな風に使っていますか?使ったことがない人は、どんなイメージを持っていますか? 田茂:私はまだ使ったことがないのですが、ChatGPTにキーワードを入れて指示し、小説を作ってもらうテレビ番組が印象に残っています。人間だけが感情を使って思考しているのかなと思っていましたが、AIも感情のようなものを使って書いてくるのがおもしろいなと思いました。 玉手:単純に答えが返ってくるのではなくて、読んでる人の感情が動かされるからすごいですよね。 奥野:人の感情というのは「良い」とか「悪い」ということですよね。ChatGPTを始めとする生成型のAIツールは、その感情をスコアで表して、スコアがひとりで歩けるように勉強させています。一番最初にそのスコアを人間が付け、今度はそのスコア付けをするプログラムをつくります。そうすると、そのプログラムが自動でスコア付けを繰り返し、莫大な量のデータを蓄積します。そしてそこから導き出された言葉を人が読むと「いいね」と感じる。そんな世界です。富岡君はどうですか? 富岡:僕はChatGPTがニュースで大々的に取り上げられるまでは、企業サイトによくある質問ページのチャットAIのようなイメージを持っていました。質問を入力してもなんだかちょっとズレた回答が返ってくるような。でも小説を書いたり会話をしたりできるのは大きな進歩ですね。 玉手:今まで未来だったイメージがすぐそばにありますよね。齋藤君は? 齋藤:自分が見たのはオモシロツールとしての使い方です。突飛な質問をして、何かおもしろい答えが返ってきたり、自分には彼女ができますか?と質問して、できませんという回答をSNSで自虐ネタとして投稿したり。 玉手:実用的でなくても、感情が豊かになるおもちゃのような一面もありますね。 奥野:使ったことがある人はどうですか? ❝ChatGPT、どんなふうに使ってる?❞ 高橋:私はちょうど昨日初めてChatGPTを使って感動したんです。友人と一緒に、高校生の探求学習のサポートをしていたのですが、高校生たちは自分が何に興味があるか、何を調べたらいいかがわからなくて困っていたんです。そこでChatGPTを使ってみることにしました。 玉手:探求学習ですか。どんなふうに使ってみたんですか? 高橋:まずはChatGPTに「言語の探求について考えています。おすすめはありますか?」と聞いてみました。すると「言語の中でもどんな言語が良いですか?」「文法と文法的なものだと何が良いですか?」など、どんどん質問が出てきて。答えていくと、ChatGPTがどんどん話題を膨らませていきました。そのときに「AIって人間よりもスゴイのでは?」と感じましたね。皆さんはどんなふうに使っていますか? 秋葉:私はChatGPTに人工知能に関するおもしろい論文はあるかを聞いてみたところ、10選ほど紹介してくれました。あとは就活の自己分析をするのにも使えましたね。 奥野:私は企画を考えるとき、まとまった草案をもとに自分の考えにない視点を加味して、思考を整理するのに使っています。玉手学長はどうですか? 玉手:私はChatGPTがレポートの課題をどこまで自動的に書けるのかが気になり、実際に試してみたことがあります。自分が受け持つ基盤共通教育と、さらに理学部の3年生の授業で同じように試してみました。結果は、基盤共通教育の一般的な話題ではほぼ正解、一方で3年の専門知識になるとまだまだ間違いが多くありました。でも、いずれは後者の知識レベルにも追いつくでしょう。 秋葉:挨拶文や講演文の作成にも使えると聞いたことがあります。玉手学長は人前でお話をする機会が多いかと思いますが、ご自身の講演や挨拶の際にChatGPTは活用されていますか? 玉手:そうですね、使うこともあります。ただ、これからますます多くの人々に対してメッセージを発信する機会が増える中では、自分自身の明確な言葉を伝える必要があり、ありきたりなことはAIが言ってくれます。だからこそ自分自身のメッセージは何かを確かめるためにChatGPTを使えますね。これは本質的なテーマなのではないでしょうか。 秋葉:確かにその通りですね。 ❝データが財産になる時代、注意すべきこと❞ 奥野:今、技術が急速に発達し、産業が大転換するほどのことが起こっています。確実に世の中は変わっていく。少しだけでもその世界の流れに興味を向けてみてもよいかもしれません。ChatGPTを使うときの注意点を山形大学のホームページに載せています。新しく生み出される技術をどんなふうに使っていくとよいのか、ぜひ考えてみてください。 高橋:ChatGPTを使うときの注意点は、なにかありますか? 玉手:これからはデータ自体が本当の価値となる時代です。個人のデータは自分自身の財産です。今、大手企業がこぞって生成型のAIツールを一般公開し、多くの人に無料で使わせているのはなぜでしょう。それは実は、個人が持っている貴重なデータを収集しているからです。だから今、企業機密データや個人情報はChatGPTに出してはいけないという規制がかかっています。皆さんもChatGPTを使うときは、自分の貴重なデータが吸い取られないように注意しなければなりません。固有名詞や自分の名前は入れないようにしましょう。自分たちのためにデータをどのように使っていくかを考えることも、データサイエンティストの役目でしょう。 高橋:なるほど。自分の名前や友人や家族の個人情報を入れないように気をつけます。 奥野:ChatGPTは、人間の言語をモデル化した「言語モデル」であり、人間と同じような思考や意識を持っているわけではないということを理解した上で、使い方を考えることが大事です。こんなふうに使えるのでは?どんなところで使えるのか? といった意識が出てくるとおもしろいですね。 (→Vol.3へつづく) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか? テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ) 番外編:参加学生のコメント(番外編へ)
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2023/09/29
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データサイエンス座談会 Vol.3
テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか? ❝AIが進化しても残る仕事って何?❞ 奥野:さて、次のテーマは(学生がサイコロをふり)──、「人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」は来ると思いますか?」です。 玉手:皆さんはシンギュラリティという言葉を聞いたことはありますか? 技術的変換点といって、そこから一気に伸びたり一気に衰退するポイントのことを言います。人工知能が人間と同様の会話能力を持つまでにはまだ至っていませんが、将来的に技術が発展し、AIが人間の思考に対応して自己学習を行うようになると、人工知能におけるシンギュラリティが訪れると考えられます。 富岡:マンガの世界が現実になるかもしれないんですね。 奥野:そうです。これから多くの職業がAIに変わると言われていますね。これまでも手仕事が工場に代わりオートメーションになりましたが、それと同じようなことになるのかなと私はイメージしてます。でも、それでも人でないといけないもの、もしくは人だからこそ残るものはあると思いますか? 富岡:教育現場では、授業の資料はAIの方が簡単に素早くつくることができるかもしれません。でも、生徒が「わからないんです」と質問したときはやはり先生の方が、求められるものに近い対応ができるのではないのかなと思います。ほかにも、最近はお店やホテルや施設の案内係がAIというところも増えていますが、人がやるからこその良さが感じられるものも残したいです。 齋藤:僕がこれは人でなくてはと思うのは、観て楽しむスポーツですね。AIよりも、人が頑張ってる姿を見た方が楽しいし、共感すると思います。 玉手:eスポーツの世界では、もう人間はAIに勝てないですよね。 齋藤:そうですね。機械が入ると勝ち負けの話にはならないことが多いですね。 玉手:高橋さんはどうですか? 高橋:私は人間がやり続けることができる仕事として、感情を表現できるものと、高いコミュニケーション力が求められるものは残ると思います。スポーツや芸術、音楽などはやはり人間でないとできない気がします。コミュニケーションにあたっては、今もこうしてみんなで話してる所に良さがあり、人工知能として話していても感情を揺さぶられることはないと思うんです。 玉手:たしかに、このように皆さんとリアルで対話する臨場感の良さは、AIにはありませんね。 高橋:そうなると保育士や学校の先生、サービス業にも人間の仕事が残り続けて欲しいなと思います。 秋葉:私も高橋さんと同じく、感情に関してはAIは難しいかなと感じます。人間は楽しいだけでは終わらなくて、その裏にはいろいろな複雑な感情があります。 もしそのAIをつくるとしても、必ずモデルになる人がいて、その人の感情や価値観を物差しにして5段階を評価します。だからそれが必ずしも正しいとは限らないと思います。人間の複雑な面や、人間にしかない脳のようなものを超えるのは難しいかなと思っています。 玉手:そういった意味では、AIが人間を超えると言ってもいろいろな超え方がありますよね。 ❝AIが人間を凌駕する!?❞ 玉手:データサイエンス教育研究推進センターでは、例えば蕎麦屋のご主人が経営判断に日常的にデータを活用できるようにする、そのくらいあたりまえにデータサイエンスを世の中に普及させることを目標の一つとしています。 秋葉:蕎麦屋のご主人がケータイのアプリに数字を打ち込んで「今日はどのくらい蕎麦を打っておこうかな?」なんて考える日がきたらおもしろいですね。 玉手:そんな日がくるのは、そう遠くはありません。ここで大切なのは「誰が意思決定をするか」です。AIは、蕎麦屋で日々つくるべき蕎麦の数や行政の意思決定に関するデータを提供しますが、最終的な意思決定をするのは人間です。人工知能は人間の判断を補完することであり、人間を凌駕することはありません。 齋藤:SF映画ではよく、人工知能が人間の代わりに意思決定する世界が描かれていますよね。 玉手:そう、そんなSF映画のような世界にはしてはいけないと私は考えています。蕎麦屋で人工知能を使って「今日は30杯しか売れない」と結果が出ても、それ以上頑張る意志を失ってしまうのは良くありません。「だけどもうちょっと頑張ってみようか」という人間の意志のポイントは下がってはいけません。データを使って割り出した費用対効果に対し、どう考えるかは「人」なのですから。 奥野:最後に考えるのは人。辞めるか、それを良くするためさらに考えるかの意思決定は、その人のモチベーションであり熱意です。たとえAIが人間を凌駕したとしても、私たちは文化的豊かさや揺るぎないアイデンティティを育むために、それぞれの人が自分自身がやりたいと思うことを心から楽しんでやるべきでしょう。綿密に計算して数字を出しても、その通り生きてたらおもしろくないと思いませんか? (学生たち深く頷く) 奥野:今日は皆さん、たくさん話していただきましてありがとうございました。最後に玉手学長からメッセージをお願いします。 玉手:データ主導型社会に向かう自分自身の姿勢というのは、それぞれの人が決めるものです。今日は皆さんが意外と知らないデータサイエンス、そんなテーマをざっくばらんに話す時間を持てて良かったです。 それでは最後にクイズです。皆さんにプレゼントしたこのカプセルトイ、今日ここでダブる確率はどれぐらいあると思いますか? 学生:あ、『ぺんぎん?』がダブっているね。 玉手:答えは…、実はダブる確率は意外と高いんです。データサイエンスをこんな風に日常から、ぜひ考えてみてください。 学生:今日はありがとうございました!とても楽しかったです。(→番外編へ) もくじ テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ) テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?(Vol.2へ) テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか? 番外編:参加学生のコメント(番外編へ)
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2023/04/21
- インタビュー
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過去の音楽の文脈から繋がりを意識し、新しい“音”を生み出す
AI音楽生成システムを用いたプロジェクトには、既存の作曲家が作った音楽を学習生成するものが多くあります。2023年2月に行われた「データサイエンスカフェ」では、「人工知能と作るこれからの音楽」をテーマに、名古屋芸術大学 非常勤講師の大久保雅基先生にお話しいただきました。イベント終了後、大久保先生に音楽の世界に飛び込んだきっかけやこれからの音楽に関しての考えなどを伺いました。 聞き手・奥野貴士 山形大学データサイエンス教育研究推進センター長/具志堅裕介 同センター担当教員(地域教育文化学部 主担当) (2023年2月15日実施) 変わった“音”との出会い,音楽をプログラムする 名古屋芸術大学 非常勤講師大久保雅基先生 ダンスミュージックと民族音楽が好きで、中学生の頃から作曲をはじめました。当時つくっていたのは主にトランスミュージック。ライブに出たり、CDをつくって文化祭で配ったりしていました。作曲をしていく中で、シンセサイザーなどを使って、いろいろな変わった音色を作りたいという興味を持ち始めたのですが、もっとマニアックに音楽制作をしたいと思っていたときに、大学の先生に教えてもらったのが、Max/MSPという音楽のプログラミング言語でした。それを使えば、変わった音が作れるということを知り、電子音響音楽というジャンルと出会いました。それが、アカデミックの世界に踏み込んだきっかけですね。とは言え、当時は自分が作っている音楽が「アカデミック」というイメージは全くなくて、ただただとにかく作曲を続けていました。 人と違う音楽,「新しい」とは何か どの芸術分野でも、何をもって新しいとするかは難しいところです。私は、既存のモノがあって、そこから少し違うことをしているのが「新しい」と評価されると思っています。そこを飛び越えすぎると、新しいではなくて「変なモノ」。「ちょっとここを拡張している」から「この作品は新鮮」、という感覚があります。ですので、過去の音楽の文脈から繋がりを意識して、その上で新しいことを取り入れるように気にしています。 現代音楽も、現代美術も素養がない人が触れたら全然理解できないという作品はたくさんあるはずです。しかし、それらはいろんな文脈に繋がった結果生まれた作品だと理解できる人からしたら、「変なモノ」ではなくて「新鮮な面白いモノ」になるのです。初見では「なんだコレ!?」という作品もありますが、薄っぺらい表現の場合は「なんだコレ!?」で終わる一方で、すごくいい作品というのは、「なんだコレ!?」がコンセプトから組み立てられ理論武装されていて、結果として普通のものとは違う表現をしていたりします。 人工知能と音楽,共に作り出す“音”の可能性 人間には知覚できない、人工知能だけが知覚できる音楽表現っていうのは、可能性として考えられるとは思いますが、人間の限界は決まっています。例えば人間が聞こえる周波数というのは20ヘルツから20キロヘルツです。機械はそれ以上を扱えるかもしれませんが、扱えたとしても人間は楽しめません。結局は人間が楽しめる範囲、扱える範囲でしか新しいものは生まれないと思います。また、「AIの発達により、人間の演奏の仕事が奪われるのではないか?」という懸念を持つ人もいますが、私は「人間というのは、人間の限界を見て楽しんでいる」と思っています。例えば、長年の練習の成果による素晴らしい演奏技法などを見て、「私にはできないけど、人間はこんなところまでできるんだ」というのを楽しんでいるのではないでしょうか。 現在、作曲家を目指して学んでいる人は、自分が取り組んでいることの最新の動向を見続けて、取り入れながら自分の音楽を作っていくことがよいでしょう。AIが今後、音楽業界に入ってくるのが当たり前になるかもしれません。でも、AIが脅威になり仕事を奪われるのではなく、AIを使うことが当たり前になるのではないかと思います。そのときには、すでに作曲家として活動している人のところに相談や仕事が来るのではないでしょうか。そのときには、当然AIも扱えていた方が良いですよね。
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