【報告】 政策統計勉強会~人口減少社会と統計

山形大学データサイエンス教育研究センター(YUDS)は、山形県統計企画課が主催する「政策統計勉強会」において、コーディネーターとして参加しました。(実施日:2024年11月27日)

この勉強会は、国勢調査や社人研推計結果などの人口データを基に、新たな統計分析の視点や手法について、多様な主体が意見交換を行い、研究や統計データの利活用を促進することを目的としています。さらに、分析スキル向上を目指した人材育成や普及啓発も大きなテーマとなっています。

当日の勉強会には会場とオンラインを合わせ約60名が参加しました。参加者は自治体職員、金融機関関係者、研究者、学生など多岐にわたる背景を持ち、人口減少と高齢化に起因する地域課題への問題意識が高い方々が集まりました。当センターにとっても、リアルな意見を伺える貴重な機会となりました。


勉強会は前半の講演と後半の情報交換会で構成され、私が担当した情報交換会では、5名のパネリストとともに山形の人口減少に関する議論を行いました。パネリストには、地域経済データを分析する金融機関の方や本学の学生、研究者が参加し、多様な視点から活発な意見交換が行われました。また、会場からは農業従事者や経営者の減少という地域課題についても共有があり、非常に有意義な議論となりました。


議論を通じて考えたのは、「人口減少という不安」の源泉についてです。人口減少という統計データそのものは確定的なものであり、冷静に受け入れられるべき事実です。しかし、多くの人々が感じる不安は、人口減少が日常生活や次世代に与える具体的な影響が予測・可視化されていないことに起因していると感じました。人口減少に伴い、生活がどのように変化するのか、または変化しないのかをデータで可視化することは、地域の未来像を描くために重要です。

また、若者たちが「どのような山形にしたいのか」を議論し、その意見が行政や産業改革に直接反映される仕組みづくり、すなわち「ソーシャルイノベーション」の推進が必要であると感じました。このような協働プロセスは、たとえ目指すビジョンが完全には達成されなくとも、希望を持って取り組むこと自体が価値を持つと確信しています。


なお、本学では次年度より「社会共創デジタル学環」を開設予定です。このような大学改革に向け、当センターも引き続き貢献できればと考えています。

(報告:奥野貴士)

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