【実施報告】DSカフェ『人工衛星による地球観測って何だ?~衛星リモートセンシング入門~』(10/22開催)

2025年10月22日に開催された「データサイエンスカフェ」では、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の古田竜一氏を講師にお迎えし、人工衛星から取得できる地球観測データとその多様な活用事例についてご講演いただきました。

講演では、人工衛星の基礎的な仕組みから、地図作成や気象観測など身近な応用例、さらに最先端の研究動向まで幅広く紹介され、参加者にとってデータサイエンスの新たな可能性を実感する貴重な時間となりました。

■ RESTECの取組と事業領域

講演ではまず、RESTECが展開する6つの主要事業 ― 「衛星地球観測」「シンクタンク」「人材養成」「研究開発」「ソリューション」「普及促進」 ― について紹介がありました。衛星から得られるデータを活用し、環境・防災・都市計画など、さまざまな社会課題の解決に挑戦している同センターの幅広い活動が紹介されました。

■ 人工衛星による地球観測とは

続いて、通信衛星・測位衛星・探査衛星・地球観測衛星といった人工衛星の種類と目的が解説されました。その中でも本講演では「地球観測衛星」に焦点が当てられ、地表面で起こる現象を“遠隔(リモート)”から“探査(センシング)”する技術について、基礎からわかりやすく説明いただきました。

具体的な事例として、地球観測衛星「だいち(ALOS)」の仕組みと観測方法が紹介されました。約4トンの本体が高度600kmを秒速8kmで飛行し、太陽光パネルによる発電を行いながら、観測センサで取得したデータを地上に送信しています。このような衛星観測は、広域性・周期性・連続性・耐災害性に優れており、都市構造の分析、地盤沈下の把握、気象・海象の監視などに幅広く活用されています。

■ 社会での活用事例と今後の展望

衛星データは、社会のさまざまな分野で活用が進んでいます。講演では、地図更新や都市計画の効率化、高精細な3次元空間情報による都市再現、人の行動支援、災害対応などの具体例が示されました。

また、少子高齢化や労働力不足といった社会的課題を技術で補い、より充実した市民サービスにつなげる可能性についても言及されました。

RESTECの技術と知見は、Society5.0社会の実現に向けた情報基盤としても重要な役割を担っています。

講師からは、「衛星リモートセンシングは学際的な分野であり、データサイエンスを学ぶ皆さんにも多くの挑戦の場がある」とのメッセージが送られました。

今回は、見逃し配信希望の方を含めて38名の方からお申込みがあり、当日会場には17名、オンラインには13名(合計30名)が参加しました。参加者からは、「人工衛星の仕組みを身近な視点で理解できた」「地球観測データが社会のさまざまな場面で活用されていることに驚いた」といった感想が寄せられました。

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